検便(便潜血検査)での大腸がんの発見率は?

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毎年の健康診断や大腸がん検診で当たり前のように行われている「便潜血検査(通称:検便と言います)」。
「少量の便を採って提出するだけなのに、大腸がんは本当に見つかるの?」「検便で陰性なら安心していいの?」といった声をよくいただきます。この記事では、便潜血検査の仕組みや検便での大腸がんの発見率についてなど解説していきます。

便潜血検査とは?

便潜血検査(検便)とは、便の中に混じった目に見えない血液(潜血)を検出することができる検査です。胃や大腸などの消化管から出血している場合、便に血液が混じってしまうことがあります。この微量な出血を検知することで、大腸がんや大腸ポリープ、炎症性腸疾患、胃がんなどの病気の早期発見に効果的です。

便潜血検査の「大腸がん発見率」とは?

① 陽性の際の的中率について(検便で陽性の人に実際にがんがある割合について)

厚生労働省などの報告によると、便潜血検査(検便)で陽性と指摘された方のうち、約3~5%の方で大腸がんが発見されています。また、陽性と指摘された方のうち、約20〜40%が将来的にがん化する可能性のあるポリープが見つかると言われています。

つまり、便潜血検査で陽性と指摘された方の約25〜45%が、なんらかの治療が必要な疾患を抱えていることになります。この数字を見ても、検便で陽性と指摘された方は必ず精密検査として大腸カメラ検査を受けた方が良いことが分かるかと思います。

② 感度について(大腸がんをどれだけ見つけられるか)

便潜血検査の感度は『進行がんの発見率:約70〜80%』『初期のがん:50〜60%程度』『大腸ポリープ:20〜40%程度』と言われています。

つまり、全体の大腸がんの約2〜3割は見逃されている可能性があるということになります。特に、右側結腸(上行結腸)にあるがんの場合は、出血が便に混じりにくいため感度が下がってしまう傾向にあります。

実際にどれくらいの人が大腸がんと診断されているのか?

実際の検診データをもとに計算をすると以下のようなイメージとなります。

1,000人が便潜血検査を受けた場合ですが
 → 約50〜80人が陽性と指摘を受ける(5〜8%)
 → そのうち約2〜4人が大腸がんが見つかる(0.2~0.4%)
 → 約10〜30人が前がん病変(腺腫)が見つかる(1~3%)

※福岡県では便潜血検査で陽性と指摘された方の75%の方は2次検査として大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受診されています

つまり、検便(便潜血検査)で大腸がんが見つかる確率は、1,000人中2〜4人程度(0.2〜0.4%) と言われています。一見すると発見率が低い数字に思えるかもしれませんが、無症状の患者集団からがんを見つける検査としては非常に優秀な検査となります。

便潜血検査(検便)は大腸がんの早期発見に繋がる検査です

検便だけでは完璧に大腸がんを見つけられるわけではありませんが、便潜血検査を受けていただくことで大腸がんに気づくきっかけになる非常に重要な検査でもあります。

40歳を過ぎたら大腸がんの発症リスクが高まりますので、毎年の便潜血検査を習慣にしていただければと思います。そして、検便で異常を指摘された方や気になる症状がある方はお早めにご相談してください。必要におうじて大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受けていただくことを推奨しています。

監修:うちだ内視鏡・内科クリニック 院長 内田耕栄