便潜血検査で陰性と指摘されたが大腸がんである確率は?

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健康診断や福岡市の大腸がん検診で採用されている「便潜血検査」は、大腸がんの早期発見に役立つ重要なスクリーニング検査です。
一方で、「便潜血検査で陰性(−)と指摘を受けたけど、本当に安心して大丈夫なのかな?」「便潜血検査の結果は陰性だけど大腸がんだったという話を聞いたことがある…」という不安の声も少なくありません。
今回は「便潜血検査で陰性と指摘されたが大腸がんである確率は?」 というテーマで解説していきます。

そもそも便潜血検査とは?

便潜血検査とは、便の中に血液が混じっていないかを調べるための検査であり、肉眼では見えない微量の血液を検出することができます。血液が便に混じっている場合は、大腸で出血している可能性が高いです。

現在主流なのは「免疫学的便潜血検査(FIT)」であり、人間の血液中に含まれているヘモグロビンを検出しています。便潜血検査は任意の2日間の便を採取するだけなので非常に簡便で負担が少ない検査です。

「陰性=がんではない」とは限らない理由について

便潜血検査で「陰性」であった場合は、「便の中に明らかな出血は検出されませんでした」ということになりますが、「大腸に何の異常が生じていない」ということと完全にはイコールではありません。出血が生じていないだけで、大腸の中では何か異常が生じている可能性はあります。

【便潜血検査が陰性でも大腸がんの可能性がゼロでない理由】

1.がんが出血していない場合は検出できない

大腸がんの中には、進行していても出血が出ないこともあります。そういった場合であれば便潜血検査では検出できません。

2.出血してても便に混ざらない場合がある

特に右側(上行結腸・盲腸)にあるがんでは、血液が便と混ざりにくく、出血していても検出されにくい傾向があります。

3.採便タイミングにより出血を見逃す場合がある

2日法で便潜血検査を受けていただいても、出血がたまたまその2日間になければ、便潜血検査の結果は陰性となってしまいます。

4.採便の誤差・保存方法の問題で検出ができない場合がある

適切に採取がされなかったり・保管されなかった場合では、正確な結果が出にくくなってしまいます。

実際に「陰性なのに大腸がん」だった確率は?

ある日本の大規模な調査によると、2日法の便潜血検査で陰性と指摘を受けた人でも、1,000人に1〜2人程度は大腸がんが見逃されていたという報告がされています。つまり、便潜血検査で陰性と指摘されたが大腸がんである確率は、約0.1〜0.2%(1000人に1〜2人)ということになります。

確率としてはそう高くはないですが、便潜血検査を受けて陰性と指摘を受けても絶対に大丈夫という保証はありません。些細なことでも構いませんので、気になる症状がある方はお早めにご相談ください。

どんな人は「陰性」でも内視鏡検査を受けた方がいいのか?

便潜血検査で陰性であっても、以下のような項目に該当される方は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受診されることを推奨します。

  • 50歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない方
  • 家族に大腸がんの方がいる
  • 血便が出た
  • 便が普段よりも赤黒い
  • 便に粘膜のようなものが付着していた
  • 便器内に血が垂れている
  • 便が細くなった
  • 慢性的な便秘や下痢
  • 原因不明の体重減少
  • 貧血を指摘された
  • 過去に大腸ポリープを切除したことがある

便潜血検査と大腸内視鏡検査の使い分け

項目 便潜血検査 大腸内視鏡検査
方法 便を採取するだけ カメラを挿入し腸内を直接観察
メリット 簡単・安価・非侵襲的 高精度・その場で治療可能
デメリット 見逃しの可能性あり 検査に準備と時間が必要

便潜血検査だけでは「確定診断」にはなりません。重要なのは、「陰性だから大丈夫」と過信せず、自分の年齢・家族歴・症状と合わせて、適切なタイミングで大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受けていただくことです。

便潜血検査で「陰性」でも安心せず、ご自身の体調管理の徹底を

健康診断の結果に安心するのは悪いことではありませんが、過信しすぎることは禁物です。便潜血検査で陰性であっても大腸がんが見つかっているケースはあります。

ご自身の体調面には常に意識していただき、些細なことでも構いませんので体調に変化を感じたら、便の色や形がいつもと違ったら、お早めにご相談ください。

監修:うちだ内視鏡・内科クリニック 院長 内田耕栄