ストレスと腹痛の関係について
精神的なストレスと腹痛の発症には深い関係があると言われています。当院にもストレスが関係している腹痛でお困りの患者さんが数多く来院されています。精神的なストレスによって発症する腹痛の場合は過敏性腸症候群(IBS)という病気の可能性が高いです。これらの病気は腹痛症状だけではなく、便秘や下痢などの便通異常を併発することがよくあります。
過敏性腸症候群とは「腹痛(お腹が痛い)」「便通異常(下痢や便秘が慢性的に続く)」といった消化器症状が生じているにも関わらず、大腸カメラ検査を実施してもお腹の中で炎症・潰瘍などの異常所見が確認されない病気です。精神的なストレスが原因で腹痛が発症している患者さんの多くのケースが、この「過敏性腸症候群」が原因となっています。
ストレスが原因で腹痛が生じる理由について
精神的なストレスが原因で腹痛が発症している場合は、下記のような流れとなります。
- ストレスを感じる
- 腸内の細菌叢のバランスが崩れ、腸脳相関に影響が生じる
- 過敏性腸症候群が発症する
- 慢性的に便秘や下痢が生じる
- 腹痛が生じる
人の腸内には非常に多くの腸内細菌が住んでいます。様々な細菌叢がバランスをとりならが腸内環境を良い状態に保っていますが、ストレスなどが原因となり、腸内の細菌叢のバランスが崩れてしまうと過敏性腸症候群が発症してしまい、下痢や便秘といった便通異常が慢性的に生じ、腹痛を引き起こすようになります。
ストレスによって生じる腹痛って普段のときと違うの?
腹痛は誰しもが経験をしたことがある症状かと思います。精神的なストレスが原因となって発症している腹痛の場合は通常とは異なり、会議などで人前で話すようなプレッシャーを受ける場合、通学・通勤時などに精神的な負担がかかる場合に、症状が発症します。
普段は特に下痢、便秘、腹痛などの症状は感じていないが、プレッシャーを感じる場合や精神的な負担がかかるときに症状が発症するのが特徴です。
自分で取り組める腹痛の対処法について
腹痛が生じている時に、お腹を温めることで症状が緩和されることがあります。お腹を温めることで血流が改善され腸管の動きが活発になり、症状が緩和されます。また、お腹を温めることで副交感神経系が活発になり、リラックスする効果も期待できます。腹痛でお困りの方はお腹を温めてみてください。
腹痛を感じる際の受診目安について
腹痛を感じる際はお腹で異常が生じている可能性が高いです。少しでもお腹に違和感を感じた際はお早めにご相談してください。ご自身の判断で痛みを我慢していると、腹痛症状が余計に悪化してしまいます。どんな病気もそうですが、早期発見・早期治療介入が非常に大切になります。
当院では消化器内視鏡専門医の資格を持つ院長が、消化器専門外来で腹痛の診察や各種検査(内視鏡検査やCTなど)を行っています。些細なことでも構いませんので腹痛症状を感じる際はお早めにご相談してください。
監修:うちだ内視鏡・内科クリニック 院長 内田耕栄